WEB制作会社の経営者にとって、「新規案件をどうやって取るか」は常に頭を悩ませるテーマです。
制作の腕には自信がある。納品物のクオリティも高い。でも、営業にかけるリソースが足りない——。中小のWEB制作会社ほど、こうしたジレンマを抱えています。デザイナーやエンジニアが営業を兼務せざるを得ず、結果として制作と営業のどちらも中途半端になってしまうケースは少なくありません。
とはいえ、営業マンを1人採用すれば年間500〜600万円のコストがかかります。テレアポ代行を使えば月数十万円。郵送DMなら1通あたり500円前後。いずれも「投下コストに対して、どれだけ案件が取れるか」を冷静に計算すると、利益率の低い案件では回収が厳しくなることもあります。
そこで注目されているのが、お問い合わせフォームを活用したDM営業(フォームDM)です。この記事では、WEB制作会社が抱える営業課題を整理した上で、フォームDMで営業コストを劇的に削減した実例と、その具体的な始め方をお伝えします。
WEB制作会社の営業コストが膨らむ3つの構造的な問題
WEB制作会社の営業が非効率になりがちな背景には、業界特有の構造があります。
まず、制作と営業の兼務が常態化していること。 5〜10名規模のWEB制作会社では、専任の営業担当を置いていないケースが多いのが実情です。ディレクターやデザイナーが新規開拓も兼務するため、制作業務の合間に営業活動をすることになります。しかし、案件の納期が迫れば営業は後回しになり、納品が終わると案件が途切れて慌てて営業を再開する——この「波」が安定経営を妨げています。
次に、WEB制作は「提案コスト」が重いこと。 テレアポや問い合わせで見込み客が見つかっても、そこから提案書や見積もりの作成、場合によってはデザインカンプの制作まで必要になります。ここに数日〜数週間の工数をかけたのに失注、というのはWEB制作会社ではよくある話です。つまり、営業の「入口」でかかるコストだけでなく、商談化してからの工数コストも大きいのです。だからこそ、入口の段階ではできるだけ低コストかつ大量にアプローチし、確度の高い案件だけに提案リソースを集中させることが重要になります。
そして、従来の営業手法それぞれにコスト面の限界があること。 テレアポは1件ごとに人的リソースを消費し、リモートワークの普及で担当者に電話がつながりにくくなっています。SEOやオウンドメディアは成果が出るまでに数ヶ月以上かかります。マッチングサイトは価格競争に巻き込まれやすく、利益率の確保が難しくなりがちです。郵送DMは確実に届くものの、印刷費・封入作業・郵送料を合わせると1通あたり300〜500円が相場で、1,000通送れば30〜50万円のコストになります。営業マン1人あたりのコストについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
WEB制作会社の営業コスト削減にフォームDMが効く理由
フォームDMとは、企業のWebサイトにあるお問い合わせフォームから営業メッセージを送る手法です。WEB制作会社にとって、なぜこの方法がコスト削減に直結するのでしょうか。
1通あたりのコストが桁違いに安い。 郵送DMが1通500円前後なのに対し、フォームDMの配信代行サービスなら1通あたり数円〜十数円で配信できます。同じ予算で、アプローチできる件数がまったく変わってくるのです。たとえば10万円の予算がある場合、郵送DMなら200通しか送れませんが、フォームDMなら数千〜数万通の配信が可能になります。
制作スタッフの時間を奪わない。 フォームDMは配信を外注・自動化できるため、社内の制作メンバーが営業に時間を割く必要がありません。デザイナーはデザインに、エンジニアはコーディングに集中できる。これは単にコスト削減だけでなく、制作品質の維持にもつながります。
ABテストで「勝ちパターン」を見つけられる。 郵送DMでは、クリエイティブの変更にそのたび印刷コストがかかるため、気軽にテストを回せません。一方フォームDMなら、件名や本文の訴求ポイントを変えた複数パターンを低コストで同時配信し、どの切り口が反応を得やすいかを検証できます。WEB制作会社であれば「サイトリニューアル訴求」「集客改善訴求」「運用コスト削減訴求」など、異なる切り口を試して最も反応の良いパターンに絞り込んでいく運用が可能です。
決裁者に直接リーチできる。 WEB制作の発注は多くの場合、経営者や事業責任者が意思決定に関わります。テレアポでは受付で断られがちですが、お問い合わせフォーム経由のメッセージは管理者や代表に転送されることが多く、決裁者の目に直接触れる確率が高いのです。フォーム営業の仕組みや他のツールとの比較はこちらで解説しています。
郵送DM1通500円からフォームDMに切り替えた制作会社の事例──カイリキ社
ここで、実際にフォームDMで営業コストの削減に取り組んでいる事例をご紹介します。
株式会社カイリキは、元・電通プロモーション担当の小林直輝氏が2010年に創業した制作ディレクション&マーケティング会社です。東京都港区を拠点に、販促キャンペーンや動画、Webサイト制作などをワンストップで手がけ、NTTドコモや電通グループなど大手もクライアントに名を連ねています。
カイリキ社が抱えていた課題は、自社商材をダイレクトに届ける手段のコストの高さでした。小林代表によると、従来の郵送DMは1通あたり約500円。テスト配信だけでも相当な予算が必要で、気軽にトライ&エラーを回せる状況ではなかったといいます。
複数のフォーム営業サービスを比較検討した結果、IZANAGIを選んだ決め手は「低単価で大量に配信できること」と「実運用イメージの明確さ」。担当者が業種ごとのレギュレーションやフォーム仕様の情報を持っており、どのように配信が行われるかが具体的にイメージできた点が信頼感につながったと語ります。
カイリキ社が特に注目しているのはABテストの活用です。5回に分けて件名・導線・訴求を変え、どの切り口が刺さるかを検証する計画を立てています。これは、1通500円の郵送DMでは到底できなかったアプローチです。低コストだからこそ「まず試して、データで判断する」というマーケティング的な運用ができるのです。
カイリキ様のインタビュー全文は「郵送500円→フォームDMで劇的コスト削減!──株式会社カイリキ・小林直輝代表インタビュー」でご覧いただけます。
WEB制作会社がフォームDMで成果を出すための配信設計
「コストが安いのは分かった。でも、安いだけで成果が出なければ意味がない」——その通りです。ここでは、WEB制作会社がフォームDMで実際に案件獲得につなげるための配信設計のポイントを整理します。
ターゲットは「今、サイトに課題を感じている企業」に絞る。 WEB制作の営業で「ホームページ作ります」と一斉に送っても、ほとんどの企業はすでに自社サイトを持っています。狙うべきは、「サイトが古くなってリニューアルを検討している企業」「ECサイトの売上が伸び悩んでいる企業」「採用サイトを強化したい企業」など、課題が顕在化している層です。フォームDMでは業種・エリア・企業規模でリストを絞り込めるので、自社の強みが活きるターゲットに集中してアプローチできます。
文面は「制作します」ではなく「課題を解決します」で始める。 WEB制作会社にありがちな失敗は、「弊社はホームページ制作を得意としています」という自己紹介から入ること。フォームDMの文面では、「貴社のWebサイト、スマートフォンからの離脱率にお悩みではありませんか?」のように、相手の課題を先に提示するほうが反応率は高くなります。WEB制作会社はまさにWebのプロですから、相手のサイトを事前にリサーチして課題をピンポイントで指摘できれば、信頼感は格段に上がります。
LPへの導線を組み込む。 カイリキ社の事例でも触れましたが、フォームDMからLPへスムーズに遷移させる構成は非常に効果的です。DM本文には要点だけを簡潔に記載し、「詳細はこちら」でLPに誘導する流れにすれば、興味を持った企業だけが自発的に情報を取りに来てくれます。IZANAGIのURLクリック集計機能を使えば、「DMを送った何社がLPを閲覧したか」も把握できるので、関心度の高い企業を優先的にフォローする営業設計が可能になります。
配信は分割し、改善を前提にする。 最初から大量配信するのではなく、500〜1,000件ずつ分割して送り、反応を見ながら改善していくのが鉄則です。文面のABテストはもちろん、「IT企業よりも飲食業のほうが反応が良い」「リニューアル訴求より集客改善訴求が刺さる」といったターゲットの精度も配信データから見えてきます。反響がゼロだった場合の改善策はこちらの記事で詳しくまとめています。
WEB制作会社がフォームDMを始めるときの注意点
フォームDMは強力な営業チャネルですが、WEB制作会社だからこそ気をつけるべきポイントがあります。
自社サイトのクオリティが問われる。 フォームDMを受け取った企業は、ほぼ間違いなく送信元の会社のWebサイトを確認します。WEB制作のプロを名乗る会社のサイトがお粗末だったら、それだけで信頼を失います。フォームDM施策を始める前に、まず自社サイトが「名刺代わり」として十分な品質かどうかを見直しておきましょう。実績ページやポートフォリオの充実は、フォームDMの反応率に直結します。
「営業お断り」フォームには送らない。 WEB制作業界は多くの企業にとって「よく営業が来る」業種の一つです。過去にしつこい営業を受けた経験から、お問い合わせフォームに「営業メールお断り」と明記している企業も少なくありません。こうした企業への配信はクレームの原因になるだけでなく、業界内での評判リスクもあります。IZANAGIでは営業NGキーワードを自動で判別し配信をスキップする機能を備えているので、こうしたリスクを最小化できます。
フォームDMだけに頼らない。 フォームDMは「入口」として非常に優秀ですが、WEB制作案件は商談から受注まで一定のリードタイムがあります。フォームDMで獲得したリードに対して、事例集の送付やオンライン面談の提案など、ナーチャリング(見込み客の育成)の仕組みもセットで設計しておくと、案件化率が高まります。中小企業の新規顧客獲得に効果的な5つの手法も参考にしてみてください。
まとめ
WEB制作会社の営業コストは、手法を変えるだけで大きく改善できます。郵送DM1通500円の時代に比べれば、フォームDMの1通数円というコスト感は桁違いです。しかも、ABテストで改善を回しながら「勝ちパターン」を見つけていけるので、送れば送るほど営業の精度が上がっていく。
カイリキ社の小林代表が語るように、低コストだからこそ「まず試す」ことができます。制作に集中しながら、営業の仕組みを並行して動かす——その第一歩として、フォームDMを検討してみてはいかがでしょうか。
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