商談数を決めるのは「送った数」ではなく「届いた数」

フォーム営業を始めて数か月。「1,000件送ったのに、返信が2件だけ」という数字が出たとき、多くの人が最初に疑うのは文面です。次にリスト、その次に時間帯。ところが、その前に確かめるべきことがひとつ抜けています。1,000件のうち、何件が相手の受付に入ったのか、です。

最近は、機械的な一斉送信がフォーム側で弾かれることが増えています。送信ボタンを押しても、迷惑メール扱いで受け付けられなかったり、確認画面で止まっていたりして、相手には届かないことがあります。ツールの画面に「送信1,000件」と出ていても、届いたのは600件かもしれませんし、200件かもしれません。

この記事では、フォームの仕組みには踏み込まず、営業の数字の話に絞ります。月の商談数から必要な「届いた数」を逆算する方法、届く割合が違うと商談単価がどう変わるかの計算例、成果が出ないときの見直しの順番、そしてツールや代行を選ぶときに営業担当として確かめたいことをまとめました。

商談数を決めるのは「送った数」ではなく「届いた数」

商談数を決めるのは「送った数」ではなく「届いた数」

フォーム営業の成果は、順番に並べるとこう流れます。

  1. 送った数(ツールが送信操作をした件数)
  2. 届いた数(相手の受付に入った件数)
  3. 返信数
  4. 商談数
  5. 受注数

多くの営業資料やツールの画面は、1番目の「送った数」から始まります。でも、返信が来るのは、読まれる状態になった2番目以降です。1番目と2番目の間にある差は、営業の努力ではどうにもならない部分です。

この差が見えないと、困ったことが起きます。返信率を「返信数 ÷ 送った数」で出すと、届かなかった分が分母に入って、返信率が実際より低く見えるのです。「この文面は反応が悪い」と判断して文面を作り直しても、改善しません。悪かったのは文面ではなく、届く割合だったからです。

ファネルの各段階を追いかけるKPI管理の考え方は、営業代行の費用対効果を最大化する方法 でも解説しています。この記事では、そのファネルの最初に「届いた数」を1段足す、という点に絞って考えます。

届いた数が減る、いちばんの理由

届く割合を下げる一番の要因は、機械的な一斉送信がフォーム側で受け付けられにくくなっていることです。お問い合わせフォームを持つ会社の側でも、迷惑な営業や自動送信への対策が進んでいます。同じ文面を同じ手順で大量に流す送り方は、スパムと同じ動きに見えるため、受付の前で止められやすくなりました。

ここに、ツールごとの差が出ます。機械的に送るだけのツールは、受け付けられなかった分も「送信済み」として数えがちです。画面の数字は伸びているのに、相手には届いていない。この状態が、返信が来ない原因の見えにくい部分です。だから、ツールや代行は「何件送れるか」ではなく「何件届いたか」で比べる必要があります。

営業の現場でよくあるのは、担当者が「毎月1,000件ずつ送っています」と報告し、責任者が「それで返信が少ないのは文面が弱いからでは」と返す、というやり取りです。ここで「そのうち何件が届いていますか」という一言が入るだけで、議論の中身が変わります。届いた数が分かれば、文面の話をするか、リストの話をするか、送り方の話をするかを、数字で決められるからです。

商談数から逆算して、必要な送信数を出す

商談数から逆算して、必要な送信数を出す

逆算の式は単純です。

必要な送信数 = 欲しい商談数 ÷ 商談化率 ÷ 返信率 ÷ 届く割合

ここで、返信率は「届いた数」に対する割合で考えます。商談化率は「返信のうち商談になる割合」です。

計算例:月3件の商談がほしい場合

次の仮定を置いて計算します。これは説明のための数字で、業界の平均値ではありません。自社の実績に置き換えて使ってください。

  • 欲しい商談数:月3件
  • 返信のうち商談になる割合(商談化率):30%
  • 届いた数に対する返信率:1%
  • 1通あたりの費用:50円(1,000通で5万円という仮定)

この仮定だと、まず必要な返信数は 3件 ÷ 30% で10件。10件の返信をもらうには、届いた数が 10件 ÷ 1% で1,000件必要です。

ここから先が分かれ目です。1,000件を「届かせる」ために、何件送る必要があるかは、届く割合で変わります。

届く割合 20%届く割合 60%
届いた数を1,000件にするために必要な送信数5,000件約1,670件
費用(1通50円)25万円約8.3万円
1商談あたりの費用約8.3万円約2.8万円

同じ月3件の商談を取るのに、届く割合が2割か6割かで、費用が約3倍違います。逆に言えば、同じ予算で送ったときは、商談数が3倍違います。

この表で見てほしいのは、文面も、リストも、時間帯も、まったく同じ条件だという点です。届く割合だけを変えました。営業力の差ではなく、届いたかどうかの差で、1商談あたりの費用がこれだけ動きます。

商談数の目標別に見ると

目標の商談数を変えて、同じ仮定(返信率1%、商談化率30%、1通50円)で必要な送信数と費用を並べました。

月の目標商談数届く割合 20% の送信数/費用届く割合 60% の送信数/費用
3件5,000件/25万円約1,670件/約8.3万円
5件約8,330件/約41.7万円約2,780件/約13.9万円
10件約16,670件/約83.3万円約5,560件/約27.8万円

月10件の商談を目標にする場合、届く割合が2割だと、毎月1万7千通近く送り、80万円超の予算が要ります。6割なら、およそ3分の1で済みます。目標が大きくなるほど、届く割合の差は、予算の差としてはっきり出てきます。

ここで注意したいのは、送信数を増やせば解決する、と考えてしまうことです。届く割合が低いまま送信数だけ増やすと、費用が比例して増えます。しかも、同じ相手に何度も送るわけにはいかないので、リストの消費も早まります。送れる会社の数には限りがあるので、1社に1回の機会を、きちんと届く状態で使いたいところです。

同じ1,000件を送ったとき、月の結果はこう変わる

同じ1,000件を送ったとき、月の結果はこう変わる

もうひとつ、予算を固定した見方もしておきます。毎月1,000件を送る、と決めている場合です。仮定は先ほどと同じ(返信率1%、商談化率30%、1通50円)として、届く割合ごとに月の結果を並べます。

届く割合届いた数返信数商談数1商談あたりの費用
20%200件2件0.6件約8.3万円
40%400件4件1.2件約4.2万円
60%600件6件1.8件約2.8万円

0.6件の商談は、月に1件も取れない月があるということです。1.8件なら、ほぼ毎月1〜2件の商談が出ます。半年続けると、前者は累計で3〜4件、後者は10件前後になる計算です。

営業責任者として見るべきは、ここです。「文面を磨けば返信率が1%から1.5%に上がる」という改善と、「届く割合が2割から4割に上がる」という改善は、どちらも結果を2倍近くにします。そして後者は、リストや文面を作り直さなくても、送り方の見直しで動かせる場合があります。

反対に、届く割合を知らないまま文面の改善に時間を使うと、結果が動かないまま数か月が過ぎます。成果が出ない時期が長引くほど、「フォーム営業は向いていない」という結論に傾きやすくなります。向いていないのではなく、届いていなかっただけ、というケースは少なくありません。

成果が出ないときの見直しの順番

成果が出ないときの見直しの順番

では、成果が出ないとき、どの順番で疑えばよいか。営業の流れに沿うと、次の順番がおすすめです。前から順に確かめると、無駄な作り直しが減ります。

1. 届いているか

最初に見るのは、送った数ではなく届いた数です。ツールの画面で、成功・失敗・フォームなしの内訳が見えるか、失敗の理由まで分かるかを確認します。この数字が出ない場合は、まずそこを出せるようにするのが先です。

2. 誰に送ったか

届いていても、相手が見込み客でなければ返信は来ません。業種、規模、今その課題を抱えていそうかといったリストの作り方は、フォーム営業はリストの質で決まる に詳しく書きました。営業リストを自分で作るなら、姉妹サービスの IZANAMI や リストハブ も役に立ちます。

3. 文面

届いていて、相手も合っているのに返信がないなら、文面を見直します。宛先の明示、導入の1〜2行、相手のメリット、実績、次の行動を1つに絞る、という5つの基本構成と業種別の例文は、反応が取れるフォーム営業の文面テンプレート にまとめています。

4. 送る時間

同じ文面でも、読まれやすい曜日や時間帯があります。業種によって傾向が違うので、フォーム営業の返信率を上げる送信時間帯と配信設計 を参考に、テストしてみてください。

5. 返信後の対応

返信が来たのに商談にならない場合は、返信後の初動と追客に原因があります。返信のタイプ別の対応は、フォーム営業で返信が来たらどうする? が参考になります。

この順番の意味は、前の段階が崩れていると、後ろの段階の改善が結果に出ないことにあります。届いていなければ、文面も時間帯も評価できません。リストが外れていれば、返信後の対応を磨いても、そもそも返信が来ません。

また、見直しは一度に複数を変えないのがコツです。届く割合とリストと文面を同時に変えると、結果が良くなっても悪くなっても、どれが効いたのか分かりません。1回の配信では1つだけ変えて、次の配信と数字を比べると、社内に「この変更でこれだけ変わった」と説明できる材料が残ります。

毎月の報告で見る4つの数字

社長や上司への月次報告でも、送信数だけを載せていると、判断材料が足りません。次の4つを並べると、どこに手を入れるべきかが見えます。

  • 届いた割合:届いた数 ÷ 送った数。フォームなしの会社は分けて数える
  • 返信率:返信数 ÷ 届いた数。文面とリストの評価に使う
  • 商談化率:商談数 ÷ 返信数。返信後の対応の評価に使う
  • 1商談あたりの費用:その月にかけた費用 ÷ 商談数。他の手法と並べて比べるときに使う

4つのうち、前月より下がったものがあれば、そこが今月の見直し対象です。たとえば、届いた割合は変わらず、返信率だけ下がったなら、リストか文面を疑います。届いた割合が下がったなら、送った相手の顔ぶれが変わったか、ツール側の状況が変わった可能性があります。

このように、数字を4つに分けて持っておくと、「反応が悪い」という漠然とした印象を、「どの段階で何が起きているか」に言い換えられます。会議で「次はどこを直すのか」を決めるときにも、話が早くなります。

ツールや代行を選ぶとき、営業担当が確かめること

ツールや代行を選ぶとき、営業担当が確かめること

ここまでの話を踏まえると、ツールや代行会社を比べるときの質問も変わります。「月に何件送れるか」「単価はいくらか」は、もちろん大事です。でもそれだけだと、届く割合が2割のサービスと6割のサービスが、同じ土俵に見えてしまいます。

デモや打ち合わせで、次の5つを聞いてみてください。

  1. 届いた件数を見せてもらえますか。送信した件数だけでなく、受付に入ったと確認できた件数が出るか
  2. 返信の件数を、配信ごとに見られますか。どのリスト、どの文面で何件返信が来たか、あとから比べられるか
  3. 失敗した理由は分かりますか。「失敗」とだけ出るのか、原因別に分かるのか。原因が分かれば、リストや運用で対策できる
  4. フォームがない会社は、費用に含まれますか。送れなかった分の扱いが料金にどう関わるか
  5. 送る前に、成功率の目安は分かりますか。送ってから結果を知るのと、送る前に目安が分かるのとでは、予算の立て方が変わる

見積もりを取るときにも、同じ考え方が使えます。「1,000件でいくら」という単価だけでなく、「届いた1,000件でいくらか」に直して比べてみてください。送信単価が安くても、届く割合が低ければ、届いた1件あたりの単価は高くなります。反対に、送信単価がやや高くても、届く割合が高ければ、1商談あたりの費用はむしろ安くなります。

特に1番と5番は、営業責任者が予算を決めるときの判断材料になります。複数のツールを並べて比べる場合は、フォーム営業ツール比較 の記事も参考にしてください。

IZANAGI が「届いた数」を増やすためにしていること

IZANAGI は、まさにこの「届いた数」を軸に作り込んでいるフォーム営業ツールです。ご案内したい点は3つあります。

  • AI がフォームを一つずつ読んで、人と同じ手順で送る:IZANAGI は、会社ごとに違うフォームの項目や流れを AI が読み取り、人が入力するのと同じ手順で入力して送信します。同じ動きを機械的に繰り返す一斉送信とは仕組みが違うので、受け付けられやすく、届きやすくなります
  • 送信到達の精度が最大3倍:その結果、フォームのある会社に届く割合が最大で3倍になりました(当社の送信実績での比較。フォームの状況により異なります)
  • 送る前に成功率が分かる:リストを取り込んだ時点で、そのリストの過去の送信実績(成功・失敗・フォームなし)から、成功率の目安が表示されます。取り込みごとに、あとから見返せます。先ほどの計算例の「届く割合」を、実際の数字で置き換えられます
  • CAPTCHA付きのフォームにも強くなりました:種類によっては、送信精度が最大で約12倍に向上しています

「最大」と書いているのは、フォームの種類や状況によって幅があるためです。それでも、送る前に目安が分かれば、予算も、送信数の見積もりも、立てやすくなります。

まずは手元のリストで、成功率の目安を確かめてください

フォーム営業が初めての方も、すでに別のサービスをお使いの方も、お持ちのリストを取り込むだけで、そのリストの成功率の目安が分かります。今月の商談数から逆算して、必要な送信数を決めるところから、始めてみてください。

IZANAGI の公式サイトはこちら

よくある質問

Q1. フォーム営業の「送信数」と「届いた数」は何が違いますか?

送信数は、ツールが送信操作をした件数です。届いた数は、そのうち相手の受付に入ったと確認できた件数です。フォームによっては、確認画面で止まる、迷惑判定で弾かれるなどして、送ったつもりでも届いていないことがあります。営業の成果に直結するのは届いた数です。

Q2. 最近、機械的な営業送信は受け付けられにくくなっていますか?

迷惑な営業や自動送信への対策が進み、同じ動きを機械的に繰り返す送り方は止められやすくなっています。IZANAGIは、AIがフォームを一つずつ読み取り、人と同じ手順で入力して送信するので、機械的な一斉送信とは仕組みが違います。

Q3. 月に必要な送信数は、どうやって決めればよいですか?

欲しい商談数から逆算します。「商談数 ÷ 商談化率 ÷ 返信率 ÷ 届く割合」が必要な送信数の目安です。記事内の計算例で、数字を入れ替えて使えます。

Q4. 返信がないのは、文面が悪いからですか?

先に届いているかを確かめてください。届く割合が低いまま返信率を見ると、文面が悪いように見えてしまいます。届いた数を分母にして返信率を出すと、文面の評価が正しくなります。

Q5. ツールや代行会社を選ぶとき、何を聞けばよいですか?

「何件送れますか」ではなく、「届いた件数と返信の件数を見せてもらえますか」「失敗した理由は分かりますか」と聞いてください。記事の最後に質問を5つまとめています。

Q6. 送る前に成功率を知る方法はありますか?

IZANAGIは、リストを取り込んだ時点で、そのリストの過去の送信実績から成功率の目安を表示します。

Q7. 到達の割合以外に、何から見直せばよいですか?

届いているか、誰に送ったか、文面、送る時間、返信後の対応の順に見直すのがおすすめです。記事内で、それぞれの詳しい解説記事を案内しています。

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